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お知らせ南鳥島レアアース泥、2027年2月の採鉱試験に向けた最新状況を更新しました →

内閣府のレアアース計画
南鳥島で2027年2月に行う本格採鉱試験とは

南鳥島のレアアース泥をめぐる報道は、これまで「引き揚げに成功したかどうか」に集まってきました。しかし内閣府とJAMSTECの計画書を読むと、政府がこのプロジェクトで検証しようとしているのは、技術の可否だけではありません。2027年2月の本格採鉱試験は、産業として成り立つかを判断するためのデータを取りに行く試験です。この記事では、政府側の公表資料をもとに、そのロードマップと、まだ答えの出ていない論点を整理します。

2027年2月に行われることは、すでに具体的に決まっている

JAMSTECは2026年7月24日のプレスリリースで、2027年2月からの計画を次のように公表しています。同じ試験海域で約1ヶ月間にわたる本格的な採鉱試験を実施し、揚泥したレアアース泥のスラリーを南鳥島へ船舶輸送して陸揚げし、脱水処理を行った「マッドケーキ」の状態で本土へ輸送したうえで、分離・精製・製錬のプロセス試験を実施する計画です。

ここで注目したいのは、試験の範囲が「海から泥を引き揚げる」ところで終わっていない点です。船から島へ、島から本土へ、そして精製工程へ——サプライチェーンを一度、端から端まで通してみる計画になっています。

2026年2月の試験は、採鉱システムが水深6,000m級で作動するかを確認するものでした。2027年2月の試験が確認しようとしているのは、その先の工程まで含めて、量をさばけるかです。問いの質が変わっています。

70トンから350トンへ——5倍の引き上げ

2027年2月の試験規模は「1日あたり約350トン」とされています。この数字の重さは、前回との比較で見えてきます。

JAMSTECは2022年10月18日のプレスリリースで、先行試験の結果をこう発表しています。実海域試験は茨城沖水深2,470mの海域で2022年8月12日から9月2日にかけて、海底3か所の採鉱サイトで実施し、1日あたりに換算して約70トンの堆積物の回収に成功したというものです。この深度での海底堆積物の揚泥は世界でも初めてのケースで、開発した技術についてJAMSTECおよび開発に参加した企業とともに7件の特許申請を行っているとも記載されています。

つまり、実績として公表されている回収能力は70トン/日。2027年2月に目指すのはその5倍です。しかも水深は2,470mから約6,000mへと2倍以上になります。

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時期場所・水深内容規模
2022年8〜9月茨城沖・水深2,470m揚泥試験(世界初)約70トン/日換算
2026年1〜2月南鳥島EEZ・水深約6,000m級採鉱システム接続試験3日間で約50トン
2027年2月南鳥島EEZ・同海域本格採鉱試験(約1ヶ月)約350トン/日
2028年3月まで経済性評価を含む総合評価
2028年度以降産業化の検討
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2026年2月の試験で、実際に何が確認されたか

2027年2月の位置づけを理解するには、直近の試験結果を押さえておく必要があります。

JAMSTECは令和8年1月11日から2月14日の予定で、南鳥島EEZ海域においてレアアース泥採鉱システム接続試験を実施すると事前に告知していました。目的は「ちきゅう」を用いて南鳥島沖EEZ海域の水深約6,000mの海底に向けて、レアアース泥を採鉱する揚泥管や機器等を接続しながら降下させ、採鉱機を海底に貫入させる一連の作動を検証することとされています。

結果として、「ちきゅう」は1月17日に現場海域に到着し、1月30日より最初のレアアース泥回収作業を開始、2月1日未明に最初のレアアース泥が船上に揚泥されたことを確認しています。

数字の扱いに注意が必要な点
この試験について「水深5,569m」と書かれることがありますが、5,569mは揚泥パイプの長さです。試験海域の水深は約6,000m級とされています。両者を同じ数字として扱わないよう、当サイトでは区別して記載しています。

採鉱方式は「閉鎖型循環方式」

政府側の資料で一貫して使われている技術名称も押さえておきます。JAMSTECの説明では、今回開発した採鉱システムは、海洋石油や天然ガス掘削で用いられる「泥水循環方式」に独自の技術を加えた「閉鎖型循環方式」のレアアース泥採鉱システムであり、海底下での解泥、採泥と海底から船上への揚泥を可能にするもので、閉鎖系で稼働するため採鉱時に発生する懸濁物の漏洩・拡散を抑止できるとされています。

さらに採鉱に伴う海洋環境への影響を調べるため、SIP海洋で発行した国際標準規格ISOを用いた海底と船上での同時モニタリングも行うと記載されています。環境影響評価が、技術開発と並行して制度設計まで含めて進められている点は、このプロジェクトの特徴のひとつです。

南鳥島に建設される脱水処理施設

2027年2月の試験を成立させるには、洋上の技術だけでは足りません。引き揚げた泥を陸で処理する設備が要ります。

日本経済新聞は2025年12月の記事で、内閣府がSIPの一環として、小笠原諸島・南鳥島にレアアースを含む泥の処理施設を2027年までに設置すると報じています。水深約6000mの海底からレアアースを回収する実証試験を27年から始める計画で、実証試験に向けて大量の泥を処理できる体制を整えるという内容です。

南鳥島は日本の最東端に位置する、面積約1.5平方キロメートルの孤島です。定期船も民間航空便もありません。ここに処理施設を建設し、稼働させること自体が、このプロジェクトの物流面での難所を示しています。

SIPの3期にわたる積み上げ

このプロジェクトは、単発の試験ではなく、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)が期をまたいで継続してきたものです。

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名称期間主な対象
第1期次世代海洋資源調査技術2014〜2018年度水深2,000m以浅の海底熱水鉱床が中心
第2期革新的深海資源調査技術2018〜2022年度水深2,000m以深の深海資源調査技術
第3期海洋安全保障プラットフォームの構築2023年4月〜(5カ年計画)南鳥島EEZでのレアアース泥の探査・採鉱・製錬の実証

JAMSTECのSIP第3期の説明ページには、安全保障上重要な海洋の保全や利活用を進める「海洋安全保障プラットフォームの構築」として2023年4月より5カ年計画でスタートし、日本の南鳥島EEZ海域でレアアース泥の採掘技術を開発し、特定国依存からの脱却と国内供給力の強化を目指していると記されています。

内閣府の研究開発計画では、産業に不可欠とされるレアアースの我が国における安定供給に貢献するため、最終年度までに南鳥島海域でのレアアース泥の探査、採鉱、分級、分離・精製・製錬の実証試験を完了させることが目標として掲げられています。第3期が2023年度から5カ年であることを踏まえると、最終年度は2027年度にあたります。2027年2月の試験と2028年3月の総合評価が、この計画の終盤に位置していることが分かります。

まだ答えの出ていない論点

採算性

政府側の資料でも、経済性の評価は2028年3月までの宿題として明確に切り分けられています。2027年2月の試験は、その判断材料を取りに行くための試験です。裏を返せば、現時点で採算が取れると確認されたわけではありません。

深海6,000mからの採鉱は、掘削船の運用費、揚泥管の製作費、島嶼部での処理設備、本土への輸送、そして分離・精製工程まで、コストが積み上がる構造にあります。中国が陸上鉱山と既存の精製設備で供給しているレアアースと価格で競合できるのかは、試験データが出てから議論される段階です。

資源量と品位の公表範囲

埋蔵量について「世界需要の何百年分」といった数字が流通することがありますが、政府・JAMSTEC側の公表資料でその表現が使われているわけではありません。当サイトでは、公表資料で確認できる範囲を超える数字は記載しない方針を採っています。

環境影響と国際ルール

深海採鉱は、国際海底機構(ISA)における開発規則の策定が進行中の分野です。南鳥島は日本のEEZ内であるため公海の規則が直接適用されるわけではありませんが、環境影響評価の手法や社会的受容性の確保は、産業化を判断するうえで技術・採算と並ぶ論点になります。SIP側がISO規格に基づくモニタリングを組み込んでいるのは、この点への備えと読めます。

予算規模については、公表資料からの特定を保留します

このプロジェクトに投じられている予算の総額について、報道では「1千億円超」といった数字が言及されることがあります。ただし当サイトで確認した範囲では、内閣府・JAMSTECの公表資料からプロジェクト累計の予算総額を一意に特定することはできませんでした。

SIPの予算は年度ごとの配分であり、海洋課題全体にはレアアース以外の研究開発項目(海洋環境広域モニタリング、海洋玄武岩CCS基礎研究など)も含まれます。どこまでをレアアース関連として集計するかで数字が変わるため、当サイトでは金額の断定を保留し、確認でき次第この記事を更新します。

2027年2月の見どころ

試験が始まったとき、何を見れば進捗が読めるのか。公表資料から導ける観点を挙げておきます。

2027年2月は「成功か失敗か」で語られやすいタイミングですが、実際には2028年3月の総合評価に向けたデータ収集が本質です。当サイトでは、試験期間中の進捗を随時記録していきます。

実施時期の表記についての注記

本格採鉱試験の時期について、資料によって「2027年1月」と記載されているものと「2027年2月」と記載されているものがあります。当サイトでは、JAMSTECが2026年7月24日に公表した接続試験結果のプレスリリースに基づき、2027年2月と記載しています。より新しい一次情報が公表された場合は、この記事を更新します。

本記事が依拠した資料
・JAMSTEC「南鳥島EEZ海域でのレアアース泥採鉱システム接続試験の結果について」(2026年7月24日)
・JAMSTEC「南鳥島EEZ海域でのレアアース泥採鉱システム接続試験の実施について」(2025年12月23日)
・JAMSTEC「南鳥島EEZ海域でのレアアース泥採鉱システム接続試験の状況について(速報)」(2026年2月)
・JAMSTEC「レアアース泥採鉱装置による水深2,470m海域からの海底堆積物揚泥試験の成功について」(2022年10月18日)
・内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)海洋安全保障プラットフォームの構築 社会実装に向けた戦略及び研究開発計画」(2025年6月26日)
・JAMSTEC「SIP3 海洋安全保障プラットフォームの構築」プログラム紹介ページ
・日本経済新聞「南鳥島にレアアース泥の処理施設 内閣府、国産確保の実証試験向け」(2025年12月)

本記事は、上記の公表資料にもとづいて作成しています。計画は変更される可能性があり、記載内容は執筆時点のものです。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終判断は、最新の公表情報をご確認のうえ、ご自身の責任において行ってください。
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